本文抜粋
小学生の頃の話。
夏休みになると、
団地の裏の空き地でよく遊んでた。
遊具も何もない場所だったけど、
奥に一本だけ大きな木があった。
夕方になると、
その辺りだけ妙に薄暗く見えた。
まだ周りは明るいのに、
あそこだけ先に夜みたいになる。
子供の頃は、
なんとなく近づきたくなかった。
夏休みになると、
団地の裏の空き地でよく遊んでた。
遊具も何もない場所だったけど、
奥に一本だけ大きな木があった。
夕方になると、
その辺りだけ妙に薄暗く見えた。
まだ周りは明るいのに、
あそこだけ先に夜みたいになる。
子供の頃は、
なんとなく近づきたくなかった。
その日も、
Kと二人で虫捕りしてた。
空が赤くなり始めて、
団地の窓がオレンジ色に光ってた。
遠くで、
いつもの町内放送の音楽が流れてた。
でも途中から、
なんか変だった。
風が止んでるのに気づいた。
さっきまで聞こえてた、
道路の車の音とか、
子供の声とか、
そういうのが急に聞こえなくなってた。
町内放送だけ、
ずっと流れてる。
Kが後ろ振り返った。
「……まだ鳴ってる」
見ると、
木の裏の金網が破れてた。
人ひとり通れるくらい。
昨日までは無かった気がするのに、
その時はなぜか、
前からそこにあったみたいにも見えた。
俺ら、
そのまま中に入った。
細い道だった。
草が伸び放題で、
歩くたびにズボンに当たった。
途中で、
また変なことに気づいた。
町内放送の曲、
まだ終わってない。
途中で少し途切れるのに、
また同じところから流れる。
なんか、
うまく言えないけど変だった。
Kが後ろ振り返った。
「……帰る?」
でもその時、
急に景色が開けた。
知らない公園だった。
赤い滑り台。
錆びたブランコ。
砂場。
誰もいない。
でも、
砂場だけぐちゃぐちゃだった。
さっきまで誰か遊んでたみたいに。
ブランコだけが、
キー……キー……って鳴ってる。
一定の間隔で。
誰も乗ってないのに。
空は夕焼けだった。
なのに、
全然暗くならない。
ずっと同じ明るさのまま。
その時、
Kが急に黙った。
いつの間にか立ち止まってて、
地面ばっか見てた。
顔色が悪かった。
「どうした?」
って聞いた瞬間、
Kが慌てたみたいに俺の肩押した。
「いいから行こうって」
その時、
足元が見えた。
影が無かった。
俺とKだけじゃない。
滑り台も、
ブランコも、
砂場の柵も。
何も。
でも、
公園の奥だけ、
なんか黒かった。
その瞬間、
ブランコの音が止まった。
Kが急に走り出した。
俺もわけ分からないまま、
そのまま追いかけた。
草むら抜けて、
金網くぐって、
団地の裏に出た時には、
もう夜だった。
団地の窓も暗くて、
遠くでテレビの音だけが聞こえてた。
家帰ったら、
母親が半泣きだった。
警察まで来てたらしい。
時計見たら、
夜11時過ぎてた。
でも、
俺の感覚だと、
せいぜい20分くらいだった。
次の日、
Kに昨日の話しようとしたけど、
あいつ、
ずっと機嫌悪かった。
帰る時に、
「今日あっち通るなよ」
ってだけ言って、
先に帰ってった。
それから数年後。
高校入ってから、
ふと思い出して、
久しぶりに団地の裏へ行った。
木はまだあった。
でも、
金網なんかなかった。
道も無い。
ただ、
草が生えてるだけだった。
ぼーっと見てたら、
後ろを自転車が通った。
団地のおばあさんだった。
すれ違う時、
ちらっと俺見て、
「あんた、この辺の子だった?」
って聞いてきた。
「昔、よく遊んでました」
そう言ったら、
おばあさん、
「ああ、そう」
ってだけ言って、
そのまま行った。
でも少し進んだあと、
「夕方までには帰るんだよ」
って言った。
こっちは高校生なのに。
そのまま帰ろうとした時、
遠くで町内放送が鳴り始めた。
なんか急に嫌な感じして、
Kと二人で虫捕りしてた。
空が赤くなり始めて、
団地の窓がオレンジ色に光ってた。
遠くで、
いつもの町内放送の音楽が流れてた。
でも途中から、
なんか変だった。
風が止んでるのに気づいた。
さっきまで聞こえてた、
道路の車の音とか、
子供の声とか、
そういうのが急に聞こえなくなってた。
町内放送だけ、
ずっと流れてる。
Kが後ろ振り返った。
「……まだ鳴ってる」
見ると、
木の裏の金網が破れてた。
人ひとり通れるくらい。
昨日までは無かった気がするのに、
その時はなぜか、
前からそこにあったみたいにも見えた。
俺ら、
そのまま中に入った。
細い道だった。
草が伸び放題で、
歩くたびにズボンに当たった。
途中で、
また変なことに気づいた。
町内放送の曲、
まだ終わってない。
途中で少し途切れるのに、
また同じところから流れる。
なんか、
うまく言えないけど変だった。
Kが後ろ振り返った。
「……帰る?」
でもその時、
急に景色が開けた。
知らない公園だった。
赤い滑り台。
錆びたブランコ。
砂場。
誰もいない。
でも、
砂場だけぐちゃぐちゃだった。
さっきまで誰か遊んでたみたいに。
ブランコだけが、
キー……キー……って鳴ってる。
一定の間隔で。
誰も乗ってないのに。
空は夕焼けだった。
なのに、
全然暗くならない。
ずっと同じ明るさのまま。
その時、
Kが急に黙った。
いつの間にか立ち止まってて、
地面ばっか見てた。
顔色が悪かった。
「どうした?」
って聞いた瞬間、
Kが慌てたみたいに俺の肩押した。
「いいから行こうって」
その時、
足元が見えた。
影が無かった。
俺とKだけじゃない。
滑り台も、
ブランコも、
砂場の柵も。
何も。
でも、
公園の奥だけ、
なんか黒かった。
その瞬間、
ブランコの音が止まった。
Kが急に走り出した。
俺もわけ分からないまま、
そのまま追いかけた。
草むら抜けて、
金網くぐって、
団地の裏に出た時には、
もう夜だった。
団地の窓も暗くて、
遠くでテレビの音だけが聞こえてた。
家帰ったら、
母親が半泣きだった。
警察まで来てたらしい。
時計見たら、
夜11時過ぎてた。
でも、
俺の感覚だと、
せいぜい20分くらいだった。
次の日、
Kに昨日の話しようとしたけど、
あいつ、
ずっと機嫌悪かった。
帰る時に、
「今日あっち通るなよ」
ってだけ言って、
先に帰ってった。
それから数年後。
高校入ってから、
ふと思い出して、
久しぶりに団地の裏へ行った。
木はまだあった。
でも、
金網なんかなかった。
道も無い。
ただ、
草が生えてるだけだった。
ぼーっと見てたら、
後ろを自転車が通った。
団地のおばあさんだった。
すれ違う時、
ちらっと俺見て、
「あんた、この辺の子だった?」
って聞いてきた。
「昔、よく遊んでました」
そう言ったら、
おばあさん、
「ああ、そう」
ってだけ言って、
そのまま行った。
でも少し進んだあと、
「夕方までには帰るんだよ」
って言った。
こっちは高校生なのに。
そのまま帰ろうとした時、
遠くで町内放送が鳴り始めた。
なんか急に嫌な感じして、
そのまま帰った。















